2011年3月25日金曜日

3号機原子炉 「損傷の可能性」?

3号原子炉が損傷している「可能性がある」という不思議なニュースを見かけました.

“3号機原子炉 損傷の可能性” NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110325/t10014895461000.html

タイトルがダブルクオーテーションでくくられている点には注意が必要です.私たち市民が,自分の健康を自己管理するために,下記動画を再確認されることをお勧めします.


2011年3月14日 福島第一原子力発電所3号機の爆発 [2]

爆発後の3号機の様子 (資料提供: 阿修羅 http://www.asyura2.com)

海外政府機関の予測

DWD(ドイツ気象局)や,ZAMG(オーストリア気象地球力学中央研究所,オーストリアの代表的な気象および地球力学の研究機関)は,放射能の拡散予測を公表しています.

放射能拡散予測,オーストリア,ZAMG
ZAMG 3月21日から3月23日までの拡散予測 [1]



追記
DWD(ドイツ気象局)や,ZAMG(オーストリア気象地球力学中央研究所)が公開し,随時更新していた放射能の拡散予測は,2011年9月25日現在,移動されたり,公開および/または更新が中止されています.

この文書の情報源


[1] ZAMG オーストリア気象地球力学中央研究所:
3月21日から3月23日までの拡散予測.
http://www.zamg.ac.at/pict/aktuell/20110321_fuku_I-131.gif

[2] (Unknown Author):
Fukushima I Nuclear Power Plant Reactor 3 explosion on March 14, 2011.

www.youtube.com で以下の検索キーワードで検索すると,海外のメディアが伝えている3号機爆発事故の映像を見ることができます.

"Fukushima I Nuclear Power Plant Reactor 3 explosion on March 14, 2011"

面倒な方はこちらからどうぞ.
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2011年3月24日木曜日

放射能で汚染された水道水は安全か?

東京都水道局が平成23年3月23日,金町浄水場の浄水(水道水)の放射能汚染についての発表をしたのは多くの方がご存知だと思います.[1]

この発表の後,都内ではミネラルウォーターの売り切れが続出した,等の若干の混乱があったようです.

テレビでは専門家と称する方々が 「安全すぎる基準値なので,のんでも大丈夫」 あるいは「チェルノブイリ原発事故の直後にできた基準なので神経質になりすぎている,安全すぎる基準値」 という説明をくりかえしました.

本当でしょうか?

日本には安全基準がなかった・・・

平成14年11月8日に開かれた,厚生労働省第4回厚生科学審議会生活環境水道部会水質管理専門委員会で使用された「参考資料2 水質基準の国際比較」という資料があります.[3]

「その2:放射性物質」という部分にはWHOや米国,ヨーロッパなど欧米諸国の,飲用水に含まれる放射性物質に関する規制値が書かれています.日本はどうかというと

4.日本水質基準
(基準値等はなし)

厚生労働省第4回厚生科学審議会生活環境水道部会水質管理専門委員会 参考資料2「水質基準の国際比較」より

この会議が行われた日付は議事次第に書かれている通り,平成14年11月8日.[4]
平成14年は2002年,チェルノブイリ原発事故は1986年です.

「チェルノブイリ原発事故の直後にできた基準なので神経質になりすぎている,安全すぎる基準値」という専門家の説明は,間違っている.

ぜんぜん安全じゃないから暫定(ざんてい)基準値なんです

次に,近年における国際的な水質基準と,今回の福島の原発事故で急きょつくられた水質基準の暫定値を比較します.

WHOの定めている平常時の水質基準のガイドライン,日本の暫定基準値,どちらも,放射性核種ごとに,基準となる濃度が定められています.しかし,これらは一見似ていても,使い方が全く異なるため,単純に比較できないものです.

WHOのガイドラインでは,

その水を1年間飲んだことによって一生の間(70年間)に受ける内部被ばく量 < 0.1 mSv

WHO Guidelines for Drinking-Water Quality [5]
Chap 9.3 , p 202

という原則を定めています.この原則をRDL( Recommended Dose rate in Lifetime )と呼びます.個々の放射性核種ごとの基準値(ガイダンスレベル)や,スクリーニングの基準値,
評価のストラテジーなどは,すべてこの原則から導き出されます.

WHOの定めている平常時の水質基準のガイドラインの重要なポイントは,

最悪の場合でも,一生の間に受ける内部被ばく量 < 0.1 mSv

となる点です.

これに対して日本の暫定基準値では,このような考え方がありません .それぞれの放射性核種ごとに定められた基準値があり,これらは独立して適用されます.この結果として,最悪の場合をひかえめに見積もると,

その水を1年間飲んだことによって一生の間(70年間)に受ける内部被ばく量 < 5 mSv

日本の暫定基準値[6] [7] を基に hahatoko が推定

となりWHOの基準を使った場合の50倍の被ばくを受けることになります.

問題なのは,日本の暫定基準値では,食品についても,食品のグループごとに,また放射性核種ごとに基準値があり,それらが独立して適用される点です.

問題なのは,日本の暫定基準値では,食品についても,食品のグループごとに,また放射性核種ごとに基準値があり,それらが独立して適用される点です.一生の間に受ける内部被ばく量は一体どれだけになるのでしょう?

5分でわかる! 水の問題に関連する法律


関連する法律を見てみましょう.

食品衛生法第1条
第1条
この法律は,食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより,飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し,もって国民の健康の保護を図ることを目的とする.

食品衛生法第6条第2号(抜粋)
第6条
次に掲げる食品又は添加物は,これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む.以下同じ.)又は販売の用に供するために,採取し,製造し,輸入し,加工し,使用し,調理し,貯蔵し,若しくは陳列してはならない.

2 有毒な,若しくは有害な物質が含まれ,若しくは付着し,又はこれらの疑いがあるもの.

この法律をふつうの言葉になおすとこうなります

食品衛生法は国民をまもるためのもの

有害,または有害な可能性のあるものは売ってはならない

水道局は水道水を住民に売っているわけですから,有害だったら違法になります.
有害である可能性があるものを売っただけでも違法なのです.
しかし一時的に基準値を甘くすれば違法ではなくなりますね?
これが今日本で行われていることです.

有害な水道水や食品を売ると違法になる

政府の選択肢は2つ
(1)本気で摂取制限,出荷制限を行い市民の健康を守る
(2)一時的に基準値を甘くして違法でなくしてしまう

興味深いことに西播地域ユニオン ブログ 「放射能汚染された水道水は安全か?」 では今回の基準値の策定に「お墨付き」を与えた方々のお名前と連絡先が掲載されています.おそらく,わからないことは彼らに問い合わせればよい,ということでしょう.

厚生労働省ホームページ>* 報道発表資料>* 2011年3月
平成23年3月17日
医薬食品局食品安全部
企画情報課 課長 吉野,佐久間(2441,2448)
基準審査課 課長 森口,渡,内海(2481,2484,4280)
監視安全課 課長 加地,大原,今村(2471,4241,4242)
(電話代表) 03(5253)1111
(直通電話) 03(3595)2326,2341,2337

最後に,西播地域ユニオン ブログ 「放射能汚染された水道水は安全か?」の作者は,こう警告しています.

なぜ今回の水質基準を原子力安全委員会が決定したのかが理解できない.

原子力安全委員会は,長年にわたり「原子力は安全である」といい続けてきた団体だ.(主旨)

この文書の情報源


[1] 東京都水道局:
水道水の放射能測定結果について 第17報 2011/3/23.
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/03/20l3nf00.htm

[2] 西播地域ユニオン:
西播地域ユニオンブログ「放射能汚染された水道水は安全か?」.
http://seibanlocalunion.blog45.fc2.com/blog-entry-5791.html

[3] 厚生労働省:
第4回厚生科学審議会生活環境水道部会水質管理専門委員会
参考資料2 水質基準の国際比較.

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/11/s1108-5g.html

[4] 厚生労働省:
第4回厚生科学審議会生活環境水道部会水質管理専門委員会
議事次第.

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/11/s1108-5.html

[5] WHO 世界保健機構:
Guidelines for Drinking-Water Quality
INCORPORATING THE FIRST AND SECOND ADDENDA , 2008.
www.who.int/water_sanitation_health/dwq/gdwq3rev/en/

[6] 厚生労働省:
放射能汚染された食品の取扱いについて , 2011/3/17.
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e.html

[7] 厚生労働省:
魚介類中の放射性ヨウ素に関する暫定規制値の取扱いについて , 2011/4/5.
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017z1u.html


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2011年3月20日日曜日

米国政府情報機関の分析結果

日本で進行中の状況に関するオバマ大統領のスピーチ

(オバマ大統領のスピーチからの抜粋 ここから)
「まず第一に,我々は,状況を監視し,健康被害をうける可能性のあるアメリカ市民を守るために,入手可能なあらゆる情報源を用いている.」

「日本の責任者達はヒーロー的な努力を続けているが,我々(米国)は,福島第一原子力発電所が受けた損傷が,周辺住民を重大な危険にさらしていることを,知っている.」

「このため福島第一原子力発電所から50マイル(80キロメートル)以内のアメリカ市民に対して,昨日避難指示を行った.」

「この決定(80キロメートル以内のアメリカ市民に避難指示を行った決定)は,科学的で慎重な計算と,事故が仮に米国で起こったのであれば我々が市民をまもるために用いたであろうガイドラインを基にしている.」

「そしてこのガイドラインを,世界中のどこであろうと,我々は用いるであろう.」

「50マイル(80キロメートル)よりも外側では,現状では避難の必要はない.」

「しかし我々には,慎重な予防措置を選択し,状況が悪化した場合に被ばくによって健康被害をうける危険性のあるアメリカ人に情報を与え指導する責任がある.」

「このため昨晩,日本の北東部(northeastern)にいる,米国政府機関にはたらく者,およびその家族(family members and dependents of U.S. officials)に対して,自主的な出国(departures)を認めた.」
(オバマ大統領のスピーチからの抜粋 ここまで)